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外国人の中途採用手続きガイド
(大阪府・神戸市・京都市での就労ビザ申請なら行政書士法人クローバー法務事務所へ)
日本国内で就労中の外国人を中途採用する場合、すでに在留カードを持っていることから、「海外から呼び寄せるより簡単だろう」と考えられがちです。
しかし、実務ではむしろ注意点が多く、採用前の確認が不十分なまま入社させてしまうと、入社後に在留資格更新が不許可になったり、必要な届出を漏らしたりするおそれがあります。
特に企業人事の現場では、在留カードの有効期限だけを確認して安心してしまい、「いま持っている在留資格で本当にその業務に就けるのか」「変更申請が必要なのか、それとも更新や就労資格証明書で足りるのか」「採用後に本人と会社のどちらが、いつまでに何を届け出るべきか」といった点が見落とされやすくなります。
外国人の中途採用では、単に採用できるかどうかを見るだけでなく、入社時点で適法に働ける状態にあるか、次回の更新まで見据えて問題がないか、採用後の社内管理が回るかまで含めて判断することが重要です。ここでは、2026年時点の公的案内に沿って、企業人事が押さえておくべき手続きと実務上の注意点を整理して解説します。
最初に押さえるべきポイント
中途採用にあたって、まず理解しておきたいのは、外国人本人が現在持っている在留資格は、在留カードに記載されている名称だけで機械的に判断できるものではないということです。
たとえば、同じ「技術・人文知識・国際業務」であっても、前職では適法だった業務が、転職先では在留資格の範囲外になることがあります。入管が見るのは資格名そのものではなく、実際に行う仕事内容だからです。出入国在留管理庁も、就労資格証明書について、現在の在留資格で行うことができる報酬を受ける活動を証明する制度として案内しており、転職時の業務適合性の確認に使えることが分かります。
また、在留期間の残りが短い場合には、採用判断と同時に更新準備も必要になります。在留期間更新許可申請は、在留期間の満了する概ね3か月前から受け付けられています。したがって、入社時点で在留期限が近い候補者については、採用可否と並行して、更新申請の準備が間に合うかを確認しなければなりません。
さらに、転職後は本人による所属機関に関する届出が必要になることがあります。出入国在留管理庁のQ&Aでも、転職した場合には所属機関に関する届出が必要であり、転職後の活動が現に有する在留資格に該当するなら引き続き在留できると案内されています。つまり、転職しても直ちに在留資格変更が必要とは限りませんが、届出が不要になるわけではないという点が重要です。
出典:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
中途採用で企業人事が最初に確認したい三つのこと
外国人の中途採用で最初に確認すべきことは、大きく分けると三つあります。
在留カードに記載された在留資格の種類、在留期限、就労制限の有無
採用予定業務が、現在の在留資格で認められる活動に該当するか
変更申請・更新申請・就労資格証明書・各種届出のどれが必要かを、入社日から逆算して整理すること
このうち、最も誤りが起きやすいのが二つ目の「業務適合性」です。
在留カードを見れば資格名は分かりますが、実際の審査で問題になるのは、入社後にどの部署で、どの程度の割合で、どのような業務に従事するのかという点です。たとえば、前職でもオフィスワークだったから問題ない、と考えて採用したところ、転職先では接客や単純作業の比率が高く、更新時に不適合と判断されることは十分にあり得ます。
基本的な流れ
中途採用の手続は、単に内定を出して終わりではありません。実務上は、入社前から入社後まで一連の流れとして管理する必要があります。
まず、応募の初期段階で在留カードの提示を受け、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無などを確認します。この時点で、現在の勤務先、退職予定日、転職時期、更新時期もできる限り把握しておくと、その後の判断がしやすくなります。
その次に、候補者に担当してもらう予定の業務を具体的に整理し、現在の在留資格との適合性を検討します。ここでは職種名だけで判断せず、業務内容、業務比率、使用言語、求められる専門性まで見ておくことが大切です。
そのうえで、雇用契約書、労働条件通知書、職務内容説明書、会社概要、登記事項証明書、決算書など、必要になり得る企業資料をそろえます。出入国在留管理庁の「技術・人文知識・国際業務」案内でも、会社のカテゴリーに応じて、会社概要や登記事項証明書、決算文書などが必要資料として示されています。中途採用でも、業務適合性や会社の安定性を説明するために、こうした資料の準備は重要です。
その後、現在の在留状況と予定業務に応じて、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、あるいは就労資格証明書の取得を検討します。最後に、許可や届出のタイミングと就業開始日がずれないよう調整し、入社後にはハローワーク等への届出と在留期限管理体制を整える、というのが基本の流れになります。
出所:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html
在留カードの確認だけで終わってはいけない
企業人事が陥りやすいのは、「在留カードが有効だから採用して問題ない」と考えてしまうことです。
しかし、在留カードは、その人が現在どの在留資格で、いつまで在留できるかを示すものであって、転職後の新しい業務内容まで当然に保証するものではありません。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」を持っている人を採用する場合でも、前職ではシステムエンジニアとして働いていたのに、転職先では営業事務や接客に近い仕事が中心になるのであれば、次回更新時に適合性が問題になることがあります。
このようなケースでは、在留資格変更までは不要だとしても、就労資格証明書を取得して、転職後の業務が現行在留資格に含まれるかを確認しておくと、企業としてはかなり安全です。出入国在留管理庁も、就労資格証明書について、本人が現在の在留資格で行うことができる就労活動を証明する文書としています。
何の手続が必要なのか
まず、現在の在留資格では予定業務に従事できない場合は、在留資格変更許可申請を検討する必要があります。たとえば、現に持っている資格の活動範囲から大きく外れる仕事に就くのであれば、単なる転職として処理するのは危険です。
次に、現行の在留資格で業務自体はカバーできるものの、在留期限が近い場合は、在留期間更新許可申請の準備を早めに進める必要があります。在留期間更新は概ね3か月前から申請可能です。
そして、形式上は同じ資格で働けそうでも、更新時の審査が不安な場合には、就労資格証明書が実務上有効です。これは義務ではありませんが、「同じ技人国だから大丈夫」と曖昧なまま進めるより、事前に適法性を確認した方が、会社にとっても本人にとっても安心です。
出典:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-9.html
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/syuurou_00001.html
転職時に本人が行うべき届出
外国人本人が見落としやすいのが、転職時の所属機関に関する届出です。
出入国在留管理庁は、所属機関との契約終了や移籍があった場合、原則として14日以内に届出を行う必要があると案内しています。これは「転職しても同じ在留資格だから何もしなくてよい」という意味ではありません。転職後の活動が現に有する在留資格に該当する場合には、その資格で引き続き在留できる可能性がありますが、それでも届出自体は必要です。
企業としては、これを本人任せにせず、内定後または入社前オリエンテーションの段階で、「所属機関に関する届出が必要か」「いつまでに出すべきか」を確認し、案内しておくのが実務上安全です。
届出漏れが直ちに全て不許可につながるわけではありませんが、在留管理の不備として見られる可能性は否定できません。
採用後に企業が行うべき届出
採用後、会社側にも対応が必要です。
厚生労働省は、外国人を雇い入れた事業主について、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を求めています。雇用保険被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届等を通じて届け出ることになり、雇入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から起算して10日以内が期限です。雇用保険被保険者とならない外国人についても、外国人雇用状況通知書により、同様に雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内とされています。
また、出入国在留管理庁は、中長期在留者を受け入れている所属機関について、受入れ開始又は終了があった場合には14日以内に届出が必要と案内しています。もっとも、どのケースで会社側の入管届出が必要になるかは在留資格や受入れ形態によって異なるため、採用時点で整理しておくことが重要です。
実務上は、採用決定後に人事だけで完結させず、総務・労務担当と連携し、ハローワーク届出、雇用保険手続、必要に応じた入管届出を社内フローに組み込んでおくことが重要です。
出所:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html
退職後しばらく無職だった人を採用する場合の注意点
中途採用では、候補者が前職を辞めてから一定期間無職であることもあります。
この場合、在留カードがまだ有効であっても、それだけで問題がないとは言い切れません。退職後の経過期間、転職活動の状況、現在の在留資格で本来行うべき活動をどの程度行っていないのか、といった点も確認した方が安全です。
出入国在留管理庁は、就労資格等を持つ中長期在留者について、所属機関との関係変更後の届出制度を設けていますし、転職後の活動が現有資格に該当する場合には引き続き在留できることを示しています。もっとも、無職期間が長くなっている場合には、採用前に個別事情を慎重に確認する必要があります。
企業としては、「在留カードの期限が残っているから採用して大丈夫」と単純に判断するのではなく、退職から採用までの経緯も含めて確認したうえで、必要に応じて専門家に相談しながら進めるのが安全です。
出典:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html
まとめ
外国人の中途採用では、すでに日本に在留しているからといって、手続が簡単になるわけではありません。
むしろ、いま持っている在留資格で新しい業務に就けるか、変更申請・更新申請・就労資格証明書のどれが必要か、本人と会社の届出をいつまでに行うべきかを、採用前の段階で整理することが極めて重要です。
特に実務では、在留カードの有効期限だけを見て判断を終えてしまうことが最大の落とし穴です。重要なのは、在留資格の名称ではなく、実際の業務内容と在留資格との適合性を確認することです。加えて、本人の所属機関届出、会社のハローワーク届出、必要に応じた入管届出を社内で管理できる体制を整えておくことが、安定した外国人雇用につながります。
つまり、外国人の中途採用で本当に大切なのは、「採用できるか」だけを見ることではなく、採用前の確認、入社時の手続、入社後の在留管理までを一つの流れとして設計することです。
行政書士法人クローバー法務事務所
代表行政書士
大山悠太
【経歴】
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
2017年11月:行政書士試験合格
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
【保有資格】
TOEIC745
宅地建物取引士
行政書士(申請取次)
ビジネス実務法務検定2級
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号
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